抗核抗体(ANA)の検査から分かること
2017/02/12
抗核抗体(ANA)についてインターネットで調べても、専門用語も多く難しいため、素人の私が調べた結果をできるだけ簡単に説明します。
(私は病気になったときに、高校生物からはじめて、なんとなくですが医学の専門的なホームページも読めるようになりました。)
目次
検査をする理由
検査をする理由は、「病名を決める」ためです。
膠原病は長年研究していらっしゃる専門医でも治すことが難しいといわれる病気のため、病名が決まっても簡単に治るわけではありません。
では、なぜ病名を決めるか、それは、「将来の方針を決める」ためです。
現在、体の調子が悪いから、膠原病や検査について、調べているかと思いますが、何をするのが悪くて何をしたら良いのかわからないから、不安になって調べているのではないでしょうか?
膠原病の場合は、患者数も少なく、原因も特定できていないため治療が難しいのです。
また、病名が決まっても、さらにその中にも様々な種類(症状・原因)があるため、自分なりの治療法が必要になります。
インフルエンザのように、特定のウイルスに感染しているから発熱するという原因がわかっている病気では無いのです。
しかし、病名が決まってこれば、今までの記録と経験から、何をしたら悪化し、何をしたら改善するということが、少しは分かります。
「痛いなどの症状があるのに、どうして良いか分からない」という最悪な状態から抜け出すために、病名を決めるのです。
だから、膠原病の場合に「病名を決める理由」は、「安心するため」だと思っています。
そこで、症状などで膠原病の疑いがある場合、最初に行う検査の一つが多くの膠原病と相関する抗核抗体の検査です。
抗核抗体検査とは
患者さんの血液をうすめて、培養した人間の細胞などに反応させて、反応した部分だけに色がつくように処理します。
そうして、細胞核に反応する量(数値)と反応した型(形)を見る検査です。
使う細胞によって検査の種類や精度が異なります。
多くの人は、人間の細胞に反応する抗体(自己抗体)をたくさんは持っていないため、抗核抗体に反応すると、細胞核に対する自己抗体を持っていることになります。
そして、自己抗体を持っていることが原因で病気になっているとされるのが、自己免疫疾患です。
自己抗体を持っていると、自分の体のどこかと反応している可能性があるため、どこかに不具合(病気)が現れることがあるのです。
さらに、自己抗体ができる理由や原理がわかっていないため、自己免疫疾患に治療法が無いと言われているのです。
※抗体とは、私たちの体から異物を除去するために働いてくれるタンパク質です。
ちなみに、ABOの血液型は、赤血球に対する抗体の反応により分類した物です。
抗核抗体の数値とは
血液(正確には血液中の血清)を倍ずつ薄めていき、何倍まで薄めても細胞核への反応が観察できるかというのが抗核抗体の数値(抗体価)です。
つまり、単位は薄める倍数なので、「倍」になります。
40倍以上を高値(異常あり)と考えるため、一般的には、最初に40倍まで薄めて検査をして、40倍で確認できる場合は、倍ずつ薄めて最後に確認できた数値が検査結果に書かれます。
ゆえに、結果は40,80,160,320,640,1280,2560, 5120…という値になります。
一般的には、症状の悪化や回復と抗核抗体の数値は関係ないと言われていますが、一部では、相関するとも言われていますし、私自身は自分の経験からある程度は関係していると思っています。
抗核抗体が高いと膠原病や自己免疫疾患なのか?
40倍でも健康な人は、いるそうです。
数値(倍) 健康な人の割合(%) 40 16-22 80 7-13 160 1-4 320 1
しかし、40倍でも別な症状があれば、膠原病の疑いとされます。
また、逆に抗核抗体が高くて健康な場合でも、その後追跡検査をしていくと、膠原病になることがあるそうなので、要注意らしいです。
さらに、同じ病気(症状)でも抗核抗体が正常値を示すこともあるそうです。
抗核抗体の数値と病状(病勢)の関係
一般的に抗核抗体の数値と病状(病勢)は相関しないと言われています。
しかし一方で、上記の通り、
・抗核抗体の数値と健康で無い人の確率は相関している
・抗核抗体が高いと将来膠原病になる確率がある
・自己抗体は特徴的な臨床症状と相関する
と一般的に言われています。
ここが矛盾していると思っています。
顕著な症状があり病勢が強い場合は、相関しないという統計があるのかもしれませんが、病勢が弱い場合や一部の方は相関しているのではないでしょうか。
「膠原病の疑い」ぐらいの場合であれば、観察対象とはならず統計が取られていないのが事実だと思います。
実際、私自信も病状が軽くなり大学病院に行かなくなりましたので、統計の対象から外れています。
さらに、症状が軽くなったので、検査してみたら抗核抗体が陰性になった方も多くいらっしゃいます。少なくとも、私は症状と相関しています。
一般的に言われていることをすべて正しいと思えば、病院で治療法が無いといわれれば、できることがありません。
何かを信じて、「できることをやる」事が重要だと思います。
抗核抗体の型から分かること
抗核抗体の型から、自己抗体がいくつかに特定されます。
主な型 主な自己抗体 主な関連疾患 Homogeneous
(均質)抗DNA抗体 全身性エリテマトーデス 抗ss-DNA IgG抗体 抗ss-DNA IgM抗体 抗ds-DNA IgG抗体 抗ds-DNA IgM抗体 抗ヒストン抗体 全身性エリテマトーデス,薬剤性ループス Peripheral (辺縁)
抗DNA抗体 全身性エリテマトーデス 抗ds-DNA IgG抗体 抗ds-DNA IgM抗体 Speckled (斑紋)
抗RNP抗体 混合性結合組織病,強皮症,全身性エリテマトーデス 抗Sm抗体 全身性エリテマトーデス 抗SS-A/Ro抗体 シェーグレン症候群,全身性エリテマトーデス,関節リウマチ 抗SS-B/La抗体 シェーグレン症候群 抗Ki抗体 全身性エリテマトーデス 抗Ku抗体 筋炎・強皮症重複症候群 抗Scl-70抗体 強皮症 Nucleolar (核小体)
抗U3RNP抗体 強皮症 抗7-2RNP抗体 抗RNA ポリメラーゼIII抗体 抗PM-Scl抗体 筋炎・強皮症重複症候群 抗リボゾームP抗体 全身性エリテマトーデス (CNSループス) Discrete-Speckled (散在斑紋)
抗セントロメア抗体 強皮症 (CREST症候群) ,原発性胆汁性肝硬変 Cytoplasmic (細胞質)
抗ミトコンドリア抗体 原発性胆汁性肝硬変 抗ミトコンドリアM2抗体 抗Jo-1抗体 多発性筋炎・皮膚筋炎 抗SS-A/Ro抗体 シェーグレン症候群,全身性エリテマトーデス,関節リウマチ 抗リボゾームP抗体 全身性エリテマトーデス (CNSループス) 抗平滑筋抗体 自己免疫性肝炎 PCNA 抗PCNA抗体 全身性エリテマトーデス PCNA様 抗Na抗体 全身性エリテマトーデスなど 核膜 抗核膜ラミン抗体 原発性胆汁性肝硬変,自己免疫性肝炎など 抗gp210抗体 Granular 抗p80 coilin抗体 原発性胆汁性肝硬変,シェーグレン症候群など 抗Sp-100抗体 紡錘体 抗NuMA-1抗体 シェーグレン症候群など NuMA-1 抗NuMA-2抗体 全身性エリテマトーデスなど NuMA-2 中心体 抗中心体抗体 レイノー病,強皮症など ゴルジ体 抗golgin-97抗体 シェーグレン症候群,全身性エリテマトーデス,関節リウマチなど
さらに個別で自己抗体を特定する検査に進みます。
そして自己抗体が特定されると、病名が決まることがあります。
自己抗体や病名がわかると、実績のある治療法、今後気をつける症状などがわかるのです。
※抗核抗体の型は、目視での模様の確認になるため、2つ、3つ診断されることもあるようです。
しかし、例えば、抗RNP抗体という自己抗体を特定しても、全身性エリテマトーデス、強皮症、シェーグレン症候群、多発性筋炎という色々な病気の可能性があります。
つまり、今後に気をつけないといけないことが、それほど絞られない可能性もあります。
また、私の場合は、nucleolar型=核小体型であったため、強皮症が疑われました。
想定される抗体は、抗U3RNP抗体、抗7-2RNP抗体、抗RNA ポリメラーゼIII抗体、抗PM-Scl抗体、抗リボゾームP抗体でした。
その中から、血液検査で他は正常、皮膚の弾力が失われていない、指が痛い、逆流性食道炎ということから、抗Th/To抗体であろうと予想されました。
しかし、国内ではこの検査をしてくれるところが研究レベルでしかないため、結局わかりませんでした。
(後から考えると、結局、抗核抗体の値も下がりましたし、自己抗体がわかってもそれほど意味のあるものではなかったのかもしれません。)
そこで、そこにこだわるよりは、自分の病気の原因を考えることにしました。